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わたしを離さないで カズオ・イシグロ

2009 - 06/23 [Tue] - 23:29

never let me go

『わたしを離さないで』

カズオ・イシグロ


最近使ってない図書館に久しぶりに立ち寄り、出口付近でこの本に出会った
返却済整理前の棚の中。

世界的に著名な作者、『日の名残り』を描いた人。

一冊も読んだことのない私。どうなのかなと思ったけれど、
ここで出会ったのも何かの運命かなと感じて借りてみました。

介護人として働くキャシーが、施設「へールシャム」でともに育った
友人のトミー、ルースに思いを馳せ、子供時代から現代に至るまで
を語り始める。

とても抑制の利いた、静かな文章。繊細な心理描写。
彼らの戸惑いや悲しみ、いらだち、うれしさや幸福感を一瞬一瞬同時体験させてくれる。
そして心にひっかかる様々な(事)が(真実)なのか、そうでないのか
最後まで読者を飽きさせない。

ミステリに分類されてもおかしくない小説だけど、
それは作者が意図したものではないらしい。あくまでも設定。

うーん。この作家の何がすごいかというと計算されつくした緻密な世界を
静かに語りながら、登場人物の些細な言動が繊細に人間関係に影響する点を
描ききっているところでしょうか。

口に出した言葉、出さなかった言葉、起こされた行動、できなかった思い。
コミュニケーションによって生まれる<信頼>や<友情・愛情>、<裏切り>や<嫉妬>って
表裏一体に成り立っているんだとつくづく考えさせられる。
それは頭の中で妄想された言動、シュミレーションも同じ。

カズオ・イシグロという人は、イギリスに幼少から住み、イギリス国籍を持ち
もちろん英語で作家活動を行っているけど、この表現の緻密さ、繊細さは、日本人ならではの持って生まれた感性なのでは。


タイトルの

never let me go 『わたしを離さないで』

にちなんだシーンが、素敵な音楽を聴いたときのように泣けるほど、

美しい。

決して私を行かせたりしないで。

捕まえていて。

今こうして、感想を描いているとさらに、さまざまな意味が含まれている気がしてきました。



小説を読み終えた今でも、絶対に彼らの立場になることはないのに、自分なら、自分が彼らならどうする?と頭の中でリフレインしてしまいます。

それは彼らにふりかかった現実が、実際の自分には起こらないと分かっていても、現実に同じような感情に襲われる事態にならないとは限らないリアリティがあるから。

自分の人生を「享受する。受け入れること」

なんともやりきれない感情があふれます。


さてさて、
設定の謎についてですが、冒頭に出てくる二つの単語でだいたい察しがつくような。
某マンガ(白泉社)に似ているので、紹介しようかと思いましたが、ネタバレなのでやめておきます。

読んだ直後よりも、後々ずしっとくる、とてもいい小説です。

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